NOROBUSHI

ナウでヤングな40代おやじの独り言

黒い悪魔との戦い

カァー カァー カァー

ガァ、ガァ、ガァ

バザッ、バサッ

アー アー アー

カァー カァ カァー カァ


朝4時。

 

また、けたたましいカラスの鳴き声で目が覚めた・・・。

 

家の目の前に公園があるのだが、そこの大きな木にカラスが巣を作った。

 

それ以来、大勢のカラスが朝早くから集まるようになっていた。

連日の早朝カラス集会により、俺は完全に寝不足だ。

 

日中には公園にも降り立ち、我が物顔で練り歩くカラス達。

多くの子供たちが遊ぶ公園に危険が迫っている。

 

街の平和を守る為、子供たちの安全を守る為、俺は立ち上がる事にした。

 

決して俺の安眠の為ではない。

 

そう、平和と安全な世の中の為に、黒い悪魔達と俺は戦う。

 

たとえこの身に危険が迫ったとしてもだ。

危険な戦いである事は分かっている。

 

今から数年前、俺はカラスに襲撃された経験がある。
ゴミを漁っているカラスと目があっただけなのだが、その直後、後ろから後頭部に突撃されたのである。
幸いにも一命はとりとめたが、あの時の恐怖と敗北感、屈辱を今まで一時たりとも忘れた事はない。

数年前の敗戦の雪辱を晴らす時が来たのである。

 

 

そして決戦の時が来た。

自然と力が入る。

緊張からか、大量の発汗、心臓の鼓動も激しくなる。

いざ参る。

 

 

 

 

 

意を決し、俺は携帯を手に取った。

市役所に連絡。

カラスの巣の除去を依頼した。

 


そして数日後・・・

市の公園緑地課の職員の手により、カラスの巣は無事に撤去されたのであった。

 


今朝。

チュチュン、チュン、チュン


爽やかな清々しい小鳥のさえずりで目が覚めた。

そこに黒い悪魔の姿は、もうない。

街に平和が戻ったのである。


この平和を取り戻す為に、一人の男が戦い続けていた事は誰も知らない。


それでいいんだ。

今日も明日もこれからも。
俺は人知れず戦い続けるであろう。